2010年8月1日日曜日

竺仙デザインコンテスト応募

円舞する竺仙蝶鳥とロゴ




募集要項
天保13年(1842年)に創業し、伝統の技術を今に継承する染呉服の 株式会社 竺仙(http://www.chikusen.co.jp/)は、当社の代表的な柄である「爪菖蒲」「蝶鳥柄」を用いたデザインコンテストを『竺仙デザイン研究所』主催にて行います。江戸の粋を伝える伝統の柄を、自由な発想でリデザインした作品をお待ちしています。
このコンテストのことを知ったのは、私の作品の関連商品を販売しているClubtが協力していたからです。
Tシャツと染呉服の組み合わせは、はじめはとても意外でしたが、よく考えれば、織や刺繍ではなく”染”である点、多少は類似点があります。
またClubTでの商品化と販売が、そのままこのコンテストへの応募になるという仕組みで、すでに商品化には慣れていますし、素材が和柄であることからも直ぐに応募を決めました。
このブログのタグ(ラベル)にもありますが。”着物”は私の作品のモチーフの一つです。

とはいえ思いの外難題でした。
そもそも”リデザイン”という言葉が漠然としていてよくわかりません。
主催者は何を求めているのでしょうか。
反物にして浴衣にでもしようというのでしょうか。それとも会社のロゴマークにしたいのでしょうか。
腹案は二転三転しました。
素材:蝶鳥柄
素材:爪菖蒲

まず、二つの素材はあまりに素朴すぎて、しばらく妙案が浮かびませんでした。
時代を経た洗練の喩えとして、”贅肉をそぎ落とされた”とはよく言われますが、逆に初めから古代の壁画にそのままあったかのようにシンプルです。
完成されているというよりもむしろ原初的。
特に「爪菖蒲」は、すでに出尽くしたであろうパターン化するという方法論しか思いつきません。よって、どちらか、あるいは両方を使うという条件に則り、「爪菖蒲」はそうそうに見限りました。

また、飛ぶ鳥の背景に、動的な文様である流水文、波文、雲文、霞文などが描かれるのはよくありますし、漫画の世界では動的なシーンで虚空に流線形の描線は普通に描かれます。
ですから蝶鳥の背後に空気をかき回す線を描き足す手もありましたが、結局それもやめました。
ありきたりで、面白みに欠けます。

改めてよく見ると、「蝶鳥柄」は書道の留め、はらいにも似た勢いのある流線形の、その線自体から成っている事に気付きました。
まるで手練の書家の書いた”飛ぶ鳥”という文字のようです。


私淑する泉鏡花の作品に「風流線」というのがあります。
風流な線という乙な題名ですが、文学なので頭の中で想像するのみです。
言葉だけを神として頑固に信じた鏡花のように、象形文字のような蝶鳥の描線のみを信じることにしました。
そこで余計な線は加えずに、蝶鳥の線自体をそのまま生かし、できることならさらに伸長し、空を舞う勢いを表現しようと決めました。
奥から手前へ、手前から奥へ、連なって虚空を円舞する”飛ぶ鳥”という文字。
蝶鳥自体の線遠近法と配置による空気遠近法、さらに少しの立体化の陰影により、見えない風流線を表現する。

はたして効果は出ているでしょうか。



作成方法:

GIMP 2.6.6

  • 透明レイヤーに横に13羽の蝶鳥を並べます。遠近感を強調するため中心の一羽を最大にし、左右の端に行くに従い小さくします。
  • 【フィルタ】【マップ】【オブジェクトマップ】のオプションタブにて円柱を選択し、側面に上記の画像を貼り付けます。
  • その際、透明のレイヤーを事前に作り、円柱タブにて上下の面に適用します。これをしないと上下の蓋の部分にも画像が反映されてしまいます。
  • 同タブの円柱の半径、長さを調整し、向きタブにて位置、回転を調整します。
  • 文字レイヤーも同様に円柱の側面に貼り付け、蝶鳥のレイヤーと結合します。
  • 次に【フィルタ】【ロゴ効果】(Script-Fu)【クローム】を適用します。
  • 完了後、透過情報を扱えるpng形式で保存します。


生地色との相性:

ClubTでの色とりどりの商品画像を眺めてみると、この無彩色のデザインには彩度、明度共に高い背景が似合うように感じました。


ClubTの商品一覧はこちら
円舞する竺仙蝶鳥とロゴ::オリジナルTシャツプリント - クラブT

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